Papo & Yo 実況 最終回&本作の考察

キコの冒険の果てに辿り着いた部屋は…



これで終わりです。
最後まで見ていただいてありがとうございました。

エンディングのスタッフロールで本作の背景解説をしましたが、まだ少し話し足りないので、以下で補足しておきます。
●最後のシーン「怪物とお別れする」の意味とは

ムカデのベッドに寝ている怪物を雲の海に落とすシーンは、制作者のヴァンダー・カバレロが16歳の時に父親が亡くなって、棺を運んだ記憶が元になっています。
当時を振り返ると、悲しみよりも、いまにも父親が動き出すんじゃないかという不安感があったらしい。
象徴的には、この場面は父親の記憶を消してしまうことを表しているようです。

ヴァンダーは父親の虐待のトラウマで、心理カウンセリングに通っていました。
長年の心理療法から引き出した結論は、
「自己破滅型の人間を愛したら、自分も底に引きずり込まれてしまう。
とても難しいが一番良い方法は、その人をただ愛して、忘れてしまうこと」
だそうです。
ラストシーンはそのことを表しています。

●「Papo&Yo」は既存のゲームへのアンチテーゼでもある

本作の印象的なラストシークエンスは初め、アクションゲームの伝統にのっとったボスファイトだったそうです。
凶暴化した怪物と戦い、殺すことで怒りを消し去り、最後に現れる小さくなった怪物とキコが抱き合って物語は終わる。

でもこれは欺瞞だったと、ヴァンダーは言います。
怪物を殺しても虐待の記憶は消えない。
怪物を忘却の彼方に追いやることこそ、虐待を終わらせる本当の手段だと考え、あのようなラストシーンに変更したわけです。

ヴァンダーは大作ゲームを「デジタル・コカイン」と呼んで、批判しています。
次に何をやればいいかを次々に指示し、プレイヤーを誘導していくやり方に、ゲームの未来はないと考えています。
ゲームの意義は、プレイヤーに"追体験"させることであるという哲学を持っているので、本作のようにゲームのセオリーから大きく外れた演出を採用しています。

●本作の反響

ある日、ヴァンダーはシングルファーザーから手紙を受け取ります。
それによると、時々、怒りにまかせて子供を怒鳴りつけることがあったが、このゲームをプレイした後では、
自分が怪物に見られることを恐れ、自らを客観視するようになったとありました。

このように、単なるパズルアクションゲームの枠組みを超えて、人をして考えさせる内容を持つゲームであると言えます。

ヴァンダー・カバレロが息子と一緒に本作をプレイした時は、自分の子供時代を思い出してとても悲しくなり、最後までプレイできず、ゲームを終わらせたそうです。
しかし一番悲しかったのは、自分が子供の時には、ゲームを終わらせるように現実を終わらせるわけにはいかなかったことだ、と述べています。

●"Papo&Yo"の意味

ここから先は私の考えになります。
「人は何のために生きるか」という半ば陳腐化した問いは、しばしば取り上げられます。
私はこれに関してかなりはっきりした見解を持っています。

人間の人生は確率に左右されていて、当たりクジと外れクジを引いて、この世に生まれてきます。
外れクジの中で最悪なものは「病気」と「親」です。
これを引き当てた人間は、生涯苦しむ可能性があります。

しかし、この大きなマイナス面を反骨精神に転化して、意味のあることを達成する人もいます。
これで人生のプラスとマイナスの収支を、プラスにすることができたわけです。

人の生きる目的というのは、実にこの
「人生のマイナスをひっくり返して、収支をプラスにすること」
だと、私は考えています。

もちろん何がマイナスで何がプラスなのかというのは、当人の主観によって決まるので、「自分が納得できるかどうか」が収支を判断する基準になります。

本作の制作者ヴァンダー・カバレロは、子供の頃に虐待を受けて大きなトラウマを背負うことになりましたが、その経験を昇華して、詩的なパズルアドベンチャーゲームの傑作を世に送り出しました。
つまり自分の負を転化して、人生の収支をプラスにしたわけです。
実際、このゲームの成功により、彼の会社Minority Mediaは、ソニーの潤沢な資金援助を得ることができ、制作費を気にせず次回作を開発できるようになりました。

この「制作者が自らのマイナス面を、ゲームを作ることでひっくり返した」というまさにその点こそが、"Papo&Yo"が凡百のゲームと異なる、意義のあるゲームであるという根拠です。
もちろんこれは私の考えなので異論百出でしょうが、私はそのように考えました。

以上で考察を終わります。
長文を読んでいただいてありがとうございました。

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No title

ろへいさん、こんにちは、はじめまして。
いつも楽しく動画を拝見させて頂いてます。

Papo & Yo 私も父がアルコール依存症だったので、とても興味深く見ていました。

途中から辛くなるような演出もありましたが、辛い過去を叫ぶ勇気、感謝しつつも手放す勇気…考えさせられました。
最後は解説でホロリときてしまいました。

一つだけ…動画内でおっしゃっていた「アル中」なのですが、この場合は「アルコール依存症」のほうが合っていると思ったのですが…
違いの書いてあるページを置いておきます。もしよかったらご覧ください。
http://www.stopsake.com/category4/entry17.html
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/390.html

呼び方なんてたいしたことではないと思うのですが、一応お伝えしたく思います。


話は変わりますが、ろへいさんの解説でまた深く理解できたので、本当に感心しっぱなしですw
今回に限らず、毎回ブログの追記で語られるろへいさんの造詣の深さにはびっくりしますw

すてきなゲームを紹介していただきありがとうございました。これからも楽しみにしております!
長々と失礼いたしました!

Re: No title

> 早太郎さん

なるほど、「中毒」というと、急性的・突発的なニュアンスがあるんですね。
勉強になりました。
情報ありがとうございます!

こんにちは。
いつも実況・ブログを楽しく拝見させていただいております。

次の実況も楽しみにしてます。
展覧会のレポも好きです。面白い企画展があれば、またレポよろしくお願いします!

Re: タイトルなし

> きっちょさん

ありがとうございます。
次回作はもうじき、パート1を上げることができそうです。
そちらもよければ見て下さい!
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ろへい

Author:ろへい
ニコニコ動画でPCゲーム、
主に海外のアドベンチャーゲームを実況プレイしてます。
ゲームも映画も小説も、実在感の感じられる重厚な作品が好きです。

ニコ動のユーザーページ:http://www.nicovideo.jp/user/7605419

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